
「共有持分不動産」を売りたい人必見!スムーズに手放すための3つの方法
家族で相続した家や、離婚・投資などで「共有持分(きょうゆうもちぶん)」になっている不動産をどう売ればよいか、迷っていませんか。
共有は「自分だけで決められない」ことが多く、不動産売却を進める途中でトラブルが起きやすいのが実情です。
本記事では、共有持分の基本から、売る3つの具体的な方法、よくあるトラブル回避のコツまでシンプルに解説します。
読み終えれば、今日から何をすればいいかがはっきりします。
本記事のポイント
共有持分不動産をトラブルなく売却するための具体的な方法と注意点を解説し、安心して解決へ導きます。
共有持分不動産の基本知識

共有持分とは?定義と種類
共有持分とは、ひとつの不動産を複数人で「割合」に応じて持っている状態のことです。ピザを人数分で分けて持っているイメージです。
1/2、1/3 のように持分(もちぶん)割合が決まっており、登記簿にも記録されます。
主なパターンは次のとおりです。
- 相続で兄弟姉妹がそれぞれ持分を取得
- 夫婦で住宅を購入し、持分を按分
- 親から一部を贈与され、残りは親が持つ
- 投資家どうしで共同購入
「種類」としては、一般的な共有のほか、区分所有(マンションの専有部分+共有部分)もセットで理解しておくとスムーズです。
ただし、ここでいう「共有持分の売却」は、土地や戸建て・マンションの共有者の持分だけを売るケースを主に指します。
共有持分の仕組みや分割方法を解説
共有不動産には「使い方・管理・処分」で必要な同意の範囲が異なります。専門用語は使わず、やさしく整理します。
- 使い方(使用収益):家の掃除をする、庭を使うなど「日常の使い方」は原則として共同で合理的に行います。
- 管理(修繕・契約):屋根の修理など重要な管理行為は、共有者の過半数の同意が必要になることがあります。
- 処分(売却・抵当):不動産そのものを売るには、通常は共有者全員の同意が必要です。ただし「自分の持分だけ」を売ること自体は可能です。
分割方法(共有をやめるやり方)も覚えておくと、のちの判断がラクになります。
- 現物分割:土地を分けるなど、物理的に分ける
- 代償分割:誰かが全体を取得し、ほかの人には代償金を支払う
- 換価分割:不動産を売って代金を分ける
状況によりベストは変わるため、早めに「分割のゴール」を共有者で話し合うと遠回りを防げます。
なぜ売却が難しいのか
共有持分の不動産売却は、一般の売却と違い、買い手・手順・関係者調整でハードルが増えます。
- 同意の壁:不動産全体を売るには全員同意が要るため、1人が反対すると進まない
- 価格の壁:持分だけの売却は利用価値が限定されるため、一般的に価格は低くなりやすい
- 権利関係の壁:相続未完了、抵当権(ローン)付き、居住者あり、などで条件が複雑化
- 時間の壁:連絡が取れない共有者がいる、感情の対立がある、といったケースで長期化
Tips
・最初に「共有者の連絡先・持分割合・登記の最新状態」を確認しましょう。
・感情的になりやすい話題なので、第三者(専門家)を間に入れると会話が穏やかに進むことが多いです。
・「共有物をどうしたいか(残す/売る/誰かが住む)」のゴールイメージを全員で早めにすり合わせましょう。
共有持分不動産を売る3つの具体的な方法

他の共有者に持分を売却する
もっともシンプルで、実務上トラブルが少ない進め方です。すでに使っている人・住んでいる人がいれば、その人がまとめて持つのが自然だからです。
進め方の一例
- 共有者どうしで意向確認(売る側・買う側・保有継続の希望)
- 簡易査定で価格の目安をつかむ(路線価や近隣事例を参考)
- 価格条件の合意(支払方法・時期・固定資産税の精算ルール)
- 売買契約書の作成(司法書士・宅建士など専門家のサポートが安全)
- 代金決済・名義変更登記
メリット
- 住む・使う人が変わらないので合意形成がしやすい
- 引き渡し後の関係悪化が起こりにくい
- 不動産全体の価値を保ちやすい
注意点(トラブルを避けやすいポイント)
- 価格は一方的に決めず、複数根拠で「納得の妥当線」を探す
- 決済資金の出どころ(ローン/自己資金)とスケジュールを事前に確認
- 相続登記未了なら、先に相続関係を整える
Tips
・家族間売買でも、契約書・領収書・登記はきちんと残しましょう。
・「代償分割」の形をとると、相続人間の公平感が保ちやすいです。
・固定資産税・管理費は日割り/月割りでわかりやすく清算すると後で揉めません。
第三者へ売却する
他の共有者が買わない場合や、早期に現金化したい場合は、第三者への売却を検討します。
買い手は「不動産投資家」や「共有持分の買取に慣れた専門業者」など、扱いに慣れている先を探すのが現実的です。
メリット
- 共有者の同意を得られなくても、自分の持分だけ売却できる
- まとまりにくい関係から早めに離れられる可能性
- 交渉窓口がプロになるため、手続きがスムーズになりやすい
デメリット/注意点(専門業者を活用するメリットと注意点)
- 一般の不動産より買い手が限られるため、価格が低めになりやすい
- 居住者がいる・抵当権付きなど条件次第で更に下がる可能性
- 会社選びが重要(実績・手数料・契約条件・クーリングオフの可否など)
会社選びチェックリスト
- 共有持分の取扱実績(事例数・難案件の経験)
- 見積に含まれる費用(登記費用、測量、滞納管理費の扱い)
- 入金までの流れと日数(最短・通常・例外時の目安)
- 契約の解除条件・違約金の規定
- 口コミや公式情報の開示姿勢
Tips
・同じ条件で2~3社に見積を出すと、相場感がつかめます。
・査定金額が高すぎる先は要注意です(後で減額交渉される恐れ)。
・口頭だけで決めず、見積・条件は書面やメールで残しましょう。
裁判所に分割請求する
話し合いがまとまらない場合の最終手段です。裁判所に「共有物分割」を申し立て、どの方法で分けるかを裁判所に決めてもらいます。
流れのイメージ
- 弁護士に相談(見通し・費用・期間の目安を確認)
- 共有物分割の調停・訴訟を申し立て
- 物件の性質・共有者の事情・これまでの経緯を踏まえて、現物分割・代償分割・換価分割(競売など)のいずれかで結論
メリット
- 連絡が取れない・強硬反対などでも、法的に前へ進められる
- 長年の停滞に区切りを付けられる
リスク(最終手段としての方法とリスク)
- 期間が長い傾向(数カ月~1年以上も)
- 費用がかかる(弁護士費用・鑑定費など)
- 競売になった場合、一般売却より価格が下がりやすい
Tips
・「法的に進める」決断は、他の選択肢を試し、記録を残してからにしましょう。
・訴訟の前に第三者買取の打診をもう一度行うと、思わぬ着地点が見えることがあります。
共有持分売却でよくあるトラブルと回避策

相続人間の対立を防ぐ工夫
相続の共有は、感情・思い出・公平感が複雑に絡みます。小さな誤解が大きな対立に発展しがちです。
対立を防ぐコツ(家族間での事前合意や専門家相談)
- まず事実関係を共有:登記簿、評価額、管理状況、固定資産税の納付状況
- 合意のルールを決める:発言の順番、期限、第三者の同席
- 代替案を用意:
- A案:誰かが住み続ける → 代償金を支払う
- B案:売って代金を分ける → 時期と最低ラインを決める
- C案:一時的に賃貸に出す → 収益の分配ルールを決める
- 専門家を伴走役に:司法書士・弁護士・不動産会社など
Tips
・会議は短時間×複数回に分けると感情が爆発しにくいです。
・議事メモを全員に配って「言った/言わない」をなくしましょう。
・「誰も損しないライン」をまず見つけ、そこから上振れを狙うと合意が進みます。
売却価格トラブルを避けるには
価格は最も揉めやすいポイントです。「根拠がいくつもある状態」を作ると争いは減ります。
有効な手順( 一括査定や複数業者比較が有効 )
- 机上査定+現地査定の両方でチェック
- 路線価、公示地価、近隣の成約事例を並べて比較
- 共有持分ならではの減価要因(利用制約、立退き難易度など)を明示
- 条件ごとの価格幅(最短売却・時間をかけた売却・賃貸化)を提示
価格交渉の例文
- 「近隣の成約事例は2,800~3,100万円。共有持分の取引では2~3割下がる傾向があるため、2,100~2,200万円が妥当だと考えています」
- 「現況渡しなら減額、測量や境界確定を行うなら上振れの余地があります」
Tips
・数字は1つではなくレンジ(幅)で語ると合意が近づきます。
・「早さ重視」「価格重視」でそれぞれの最適解が違うと最初に共有しましょう。
・値下げ前に「付帯条件の見直し」(引渡時期、残置物、測量)で調整できることもあります。
共有持分の不動産を高く売るコツ(PR)

一括見積もりサービスを利用する
共有持分の売却は、会社ごとに対応力や価格の出し方が大きく違います。
まずは条件をそろえて複数社の見積を集め、内容を比べてみましょう。
次のような点が確認できます。
- 価格の根拠が明確か
- 手数料・諸費用・減額条件の書き方が丁寧か
- 入金日・名義変更までの段取りが具体的か
- 占有者がいる場合の対応経験があるか
下記のボタンから、共有持分の買取に対応する会社を比較検討できます。
状況により提示条件は異なりますが、早めに相場感を持つと判断がぶれません。

Tips
・見積は同じ入力内容で依頼すると比較がしやすいです。
・最安値と最高値の差が大きいときは、条件(引渡時期・現況・測量有無)に違いがないかを確認しましょう。
まとめ|トラブルを避けてスムーズに売却するために

重要ポイントの総復習
共有持分の不動産売却は、「手順の見える化」と「関係者の合意づくり」が成功のカギです。
- まず基本を確認:共有者・持分・登記・利用状況
- 3つの方法を比較:
- 他の共有者へ売る(安定・関係良好)
- 第三者へ売る(早期現金化、価格は低めになりやすい)
- 裁判所に分割請求(最終手段、期間・費用に注意)
- トラブル回避は「根拠×記録×第三者」:価格根拠を複数用意し、やり取りは書面化、専門家を伴走に
次のアクション
- 共有者リストと持分割合・連絡先を整理。
- 2~3社に同条件で見積依頼。
- 家族会議のルールを決め、期限を設定。
- 難しい場合は、早めに司法書士・弁護士へ相談。
付録:方法別の比較表(早見表)

方法 | スピード | 価格の傾向 | 関係者調整 | 主な費用 | 向いているケース |
---|---|---|---|---|---|
共有者へ売る | 中~速 | 中~高 | 家族・共有者との合意が必要 | 登記・契約書作成等 | 家族が住み続ける、円満にまとめたい |
第三者へ売る | 速 | 低~中 | 共有者の同意が不要な場合あり | 事務手数料等 | 早く現金化したい、関係がこじれている |
裁判所で分割 | 遅 | 低~中 | 法的に進む | 弁護士・鑑定等 | 合意不能、連絡不能、長期停滞を解消したい |
付録:売る前の準備チェックリスト(不動産売却・トラブル回避の基本)

- 登記簿の最新取得(共有者・持分の確認)
- 固定資産税の納付状況・未納の有無
- 居住者の有無(賃貸契約の有無、明け渡しの可否)
- 抵当権・差押えなど権利の有無
- 相続の場合:戸籍・遺産分割協議書の整備
- 写真・測量図・管理規約(マンション)の準備
- 価格根拠の資料化(近隣成約・路線価・査定結果)
Tips
・「資料がそろっている物件」は買い手から見ても安心で、手続きがスムーズです。
・不明点があれば、早い段階で専門家に相談しましょう。
・費用相場・会社選び・見積もり比較の重要ポイントをメモにして共有者全員で確認すると誤解が減ります。
用語ミニ辞典(やさしい言い換え)

- 共有持分:みんなで持つ不動産の「自分の分」。
- 代償分割:誰かが物件を全部もらい、ほかの人にはお金で調整する方法。
- 換価分割:売ってお金にしてから分ける方法。
- 競売:裁判所を通じて売る方法。価格は一般に低め。
- 路線価・公示地価:土地の目安価格。相場をつかむ材料。
よくある質問(Q&A)

Q. 共有者の1人が連絡に応じません。どうしたらいい?
A. 内容証明で連絡を試みる、専門家を通じて提案書を送るなどの方法があります。どうしても難しければ、共有物分割の申立てで前に進める選択肢もあります。
Q. 自分の持分だけ売ると、残る人に迷惑ですか?
A. 条件によります。第三者が入ると関係が複雑になることもあるため、事前に通知しておくと後の摩擦を減らせます。
Q. 税金はどうなりますか?
A. 譲渡所得税などが関係します。取得費や居住用の特例の有無で変わるため、国税庁の情報を確認し、税理士に相談するのが安全です。
Q. マンションの共有持分でも売れますか?
A. 可能です。ただし管理規約や管理費の滞納など、個別事情で条件が変わるため、事前確認が必須です。
この記事の活用方法(行動テンプレート)

- 現状把握:登記・持分・利用状況・共有者連絡先を一覧にする。
- 目標設定:売る/残す/賃貸などゴールを決める。
- 情報収集:2~3社に見積、近隣相場・路線価を確認。
- 話し合い:期限とルールを決め、合意形成を進める。
- 実行:契約・登記・引渡しを専門家と二人三脚で進める。
キーワードの意識(共有持分 / 不動産売却 / トラブル回避)
本記事では、共有持分という権利の仕組みから、不動産売却の進め方、トラブル回避の具体策まで順を追って解説しました。状況は千差万別です。無理のない順序で、できるところから一歩ずつ進めていきましょう。